本棚

2017年3月 1日 (水曜日)

ドラッカーと論語 / 安冨歩 (東洋経済新報社)

一般的な教科書の「ドラッカーのエッセンシャル版」は、ドラッカーの著作の一部を切り貼りしたものだそうだ。
この本ではドラッカーの著作全体に流れる理論の中心を、「論語」という儒教の古典を副読本にしながら、日本人向きな解釈で論じている。
 
ドラッカー理論の中心となっている、マーケティングとイノベーションについて、「自己を知る」、「フィードバックして学習する」と解釈したのは、読んでいて自己の尊厳をサラリーマン組織から取り戻したような気がした。
ちょっと、自分の職場・会社の内情と関わってくるので、ネット上に垂れ流すことはできないが、この本を読んで「我々が心が打ち震えるほど、本当にわくわくしてやりたい事は何なのか」を考えた。
僕個人としては、それは未来社会の社会的責任を果たす革命であり、「会社という法人のリスクでなく、未来社会・次世代の社会のリスクに対応する」事が、「イノベーション」であり、「仁」「徳」であるのだろうと思った。
 
ドラッカーも論語も深い内容の書籍であり、一冊を一度読んだところで理解しきれるものではないと思うが、互いの考えを補完しながら解釈しているこの本は、良い自己啓発のきっかけとなった。

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2017年2月23日 (木曜日)

量子コンピュータが人工知能を加速する / 西森秀稔・大関真之 (日経BP社)

量子アニーリング型の量子コンピュータの原理と、その可能性についてが語られている。
50年先に起こると思われていたイノベーションが、現代の世界でもう進められている。
 
組み合わせ最適化問題を、量子アニーリングで解を求めるのが得意な量子コンピューターは、人工知能のディープラーニングなどでも強く、NASAやGoogleが導入を進めているという。
 
少し先の量子コンピューター型人工知能が、シンギュラリティを超える可能性は高いのかもしれない。

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2017年2月19日 (日曜日)

いま世界の哲学者が考えていること / 岡本裕一朗 (ダイヤモンド社)

現代に考え方が進展している、認知科学(脳・意識・AI)・情報科学(IT)・生命科学・資本主義と格差社会・世界の宗教のありよう・環境科学(地球温暖化)など、捉え方が混沌としてきた様々な分野において、色々と思索している先人たちの著作を多数紹介している。
古典的哲学の本でなく、現代を思索の観点から切り取った、哲学の世界のガイドブック。
 
第1章のITやAIについてで、読んですぐに気づかされることが多かった。
ブログやSNSなど、ネットへの書き込みが、未来のAIのシンギュラリティを助長するかもしれない。
 
正解をこの本に期待するというより、その論題について高いところからの視点で思索している先人たちが既にいることが分かる、ガイドブックでした。
地球温暖化についての章は、独自の視点で書かれており、温暖化懐疑派も否定していません。
僕はIPCCの見解を尊重します。

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2017年2月 7日 (火曜日)

サピエンス全史 / ユヴァル・ノア・ハラリ (河出書房新社)

類人猿から様々な概念(あるいは虚構、あるいは妄想)を発明し、現在では科学で生命を操作するようになった人類:サピエンスが、強大な力を手に入れながらも、実は幸福になったとは言い切れないという、自分たちの存在意義を問いかけてくる書。
 
たしかに、今ではインターネットで瞬時に地球と宇宙ステーション間で会話ができ、医学の進歩によって病気も治るようになった。しかし、一方で多忙な時間に追われ、貧富の格差は拡大している。
 
本の最後の方は、筆者の感情が乱れたような感じだったが、サピエンスが新しい発見をして力を手に入れるたびに、世界は便利になった一方、幸福に関してはあまり進展がないという感覚はよく読み取れた。
 
サピエンスは今後どこに行くのだろう? 分かりません。
でも例えば、こんな概念・虚構・妄想を考えてみました。
 
サピエンスは将来、時間を超えて意識を伝達するテクノロジーを手に入れる。
生命という神の領域に踏み込んだサピエンスは、未来から紀元前1万年へと意識を伝送する。サピエンスは神になる。
時間を超えた意識・情報の伝達は、時空に歪のさざなみを生じ、その間の時代にいる我々はさざなみが意識や情報に現れ、シンクロニシティや精神病・霊感のある人に影響を及ぼすだろう。
 
 
しかし、それでも1万年くらいの時代の飛躍であり、宇宙138億年のスケールに取ってみれば、ほんのゆらぎにしか過ぎないのかもしれない。
 
だからといって、我々は幸せになるのか?
 
俺は愛した女性と、愛を確かめ合いたい。

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2016年11月15日 (火曜日)

あしながおじさん / ジーン・ウェブスター

大人向けの絵本に関する情報を集めていて、ふと「あしながおじさん」に当たった。この言葉は聞いたことがあるが、作品は読んだことがない。
世の中には、あしなが基金とか、ユニセフとか、様々な慈善活動があるようだが、アメリカ文学としての「あしながおじさん」は読んだことがなかった。
 
若いころに読んだら、あしながおじさんを悪いじじいだと見たことだろう。金を出して、孤児の娘を囲う。そういう側面もある。
 
しかし、この歳で通じて読んでみると、あしながおじさんは慈善活動の後継者を育てたかったのではないかと思えてくる。
金を残して死んでも、相続の争いが起きるばかり。孤児の事情を体感した知恵のある若者に道を渡せば、きっと彼女なりの慈善活動を進めてくれるかもしれない。そんな空気が読み取れた。
 
あとがきを読むと、女性の読者層が多い作品で、一つのサクセスストーリーとして捉えられているという。近年はそうでないが、過去のアメリカでそのような男女の価値観の違いがあったとしても、時代の事情を慮ることができた。

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2016年10月22日 (土曜日)

GRIT やり抜く力 / アンジェラ・ダックワース (ダイヤモンド社)

粘り強く努力を続けていく事が大切であることを、心理学者が改めて解明したという本。読むと、何でもやる気になります。
有名企業の採用でも、GRITが重視されるようになり、世界中で評判を呼んでいる本です。
 
グリット(grit)を辞書で引くと、
(困難にあってもくじけない)勇気、気概、闘志。とある。
 
・メモ
 才能×努力=スキル , スキル×努力=達成 (=才能×努力の二乗)
 「今日必死にやる」より、「明日、またトライする」
 成功するために必要なことは、「ひとつのことにじっくりと長い間取り組む姿勢」
 など。
 
 
■自分自身のGRITに関して思ったこと
 課外活動として、ギターを続けること、テニスをとにかく続けることが必要だ。明日またトライするマイペースでもいいから、挫折しても立ち上がって長期的に続ける。
 ギターだと、創意工夫を怠らない。心のおもむくままにやる、遊び心の楽しさも重要。当初狙っていたシンガーソングライティングもあきらめない。
 テニスだと、実業団でまずは個人として1勝。そして次はチームの昇格を目指す。目標を酒の席に置かない。
 
■甥や姪のGRITへの影響について思ったこと
 自分が粘り強くGRITを伸ばすことを意識していれば、発言もGRITを伸ばすアドバイスになるであろうから、口先のアドバイスでなく自分事として頑張る。
 
■注意点
 酒が一番の弱点。禁酒はいつも失敗しているから、水割り3杯の上限をとにかく守ること。

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2016年10月 4日 (火曜日)

若田光一 日本人のリーダーシップ / 小原健右・大鐘良一 (光文社新書)

国際宇宙ステーション(ISS)のミッションで初の日本人コマンダー(船長)を務めた若田光一さんの訓練生からの足取りを追ったドキュメント。
ISSのコマンダーに求められる、地上と宇宙飛行士の間の調整と、危機管理時の想定訓練など、サラリーマンの管理職にも参考になることがある。
日本人として、「和」を重視した若田さんのリーダーシップのあり方を学んだ。
 
他人を蹴落としたり、上司にゴマをすったり、情報や権力を独占したり、そんな管理職にならないためにも、宇宙という極限状況でのコマンダーから学ぶことは多いと思いました。

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2016年8月21日 (日曜日)

おとなの進路教室。 / 山田ズーニー (河出文庫)

今、甥が夏休みのオープンキャンパスのため、東京に来ている。
自分も実家から通勤しながら、甥と話す時間を作ろうと工夫している。おばあちゃん(僕の母)では、大学という進路の設計や、社会人の人生設計に関してはアドバイス力が不足しているし、甥とおばあちゃんが相互依存し始めると、自分が実家に寄生していた時のように、マイナスの心の成長が起きてしまうからだ。
 
偏差値の高い大学を卒業し、大企業に勤めて出世することが、必ずしも幸せにはつながらない事例をこれまでに見てきた。事実自分はそこそこの大学を出て、大企業に就職しながら、ギターを弾いたりテニスをしたりしながら、家庭も持たずにプラプラしている。それなりの経緯があってのことではあるが。
 
そんな45歳の視線から、16歳の進路の相談に応じられるように、2016年の大学事情や世界就職情勢を考えるために、甥にも自分にも参考になるガイドブック的なものをアマゾンで探していた。
そんな時にこの「おとなの進路教室。」に出会い、読んでみた。
迷いのある者が、迷える者を導けるのか、甚だ不安であったからだ。
 
甥は、若い者がよく言うように、語学が堪能になってグローバルに活躍したいらしい。
しかし僕は、磨いた語学を使って、何をするかの方が重要だと口を酸っぱくして言っている。
本書に貼った付箋のページには、それに関する項目があった。
  「なりたい職業名」×「マイテーマ」×「実現したい世界観」
 
自分には「世界観」があると思う。しかし、なりたい職業名とマイテーマが漠然としている。だから、迷っているように感じるのかもしれない。
甥は大学を選び受験し、卒業しても僕と同様に迷うのかもしれない。
しかし、今僕は理系か文系かのように、可能性を制限するのではなく、彼の気持ちを尊重しながら、親が良い顔をしない安泰ではない選択肢について、あえて参考情報を提供しようと考えている。それは夢に迷った自分の後悔を甥に投影しているだけに過ぎないのかもしれない。
しかし、様々な世界を見ながら自分で考えていく力を付けることは、どんな境遇にいても必要であると思う。隠れた選択肢も甥をそそのかすために提示するのではなく、甥がチラ見して後で自分で考えてくれればそれで良い。
 
 
この本の書評だが、現在のイマの自分の考えを表現することが、生きる・活きることにつながるという筆者の体験を基に書かれており、それが自分と甥のコミュニケーション・進路相談の根底にあるなと感じながら、良いタイミングで読んだ一冊だった。

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2016年8月15日 (月曜日)

空の軌跡 / ベルトラン・ピカール (小学館)

この本は精神科医でもあり、航空冒険家であるベルトラン・ピカールが2003年に発表した自伝の和訳版である。
ベルトラン・ピカールの太陽エネルギー飛行機ソーラーインパルス2は、先日太陽エネルギーのみでの世界一周飛行に成功した。それに合わせての、日本での新版販売となったようである。
 
ソーラーインパルス2の偉業については、サイトへのリンク
 
 
この本を読んで、風を操ってリスクを自己責任で持ち、冒険することの喜びを思い出した。彼の空の軌跡は、僕がどこかに置き忘れてきた夢だった。そして、空と地球という物理的な冒険と同時に、心の内側への冒険(アリアドネの糸)の視点を彼が持っていることに共感を持った。大いなる意識の大きな流れを、彼の人生が飛行していることも、共感を持った。
 
挑戦と失敗の繰り返しが人生の歩みだと再認識すると同時に、飛行高度を変えて空気の層の流れを読み、飛行進路を調整することも、暗喩として自己がコントロールできる心の持ちようを認識させてくれた。
 
僕の意識を上空へと引き上げてくれた書です。

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2016年7月24日 (日曜日)

顧みられない熱帯病 / ピーター・J・ホッテズ

大村智氏が化学薬イベルメクチンの発見でノーベル医学・生理学賞を受賞して、一時「顧みられない熱帯病; Neglected Tropical Deseases; NTDs」が有名になったが、それから一年してNTDsは再び日本では顧みられなくなり、ノーベル賞の功績の美談が広まる一方で病気そのものについては全く知られなくなった。
 
日本でも過去にはぎょう虫検査などが行われ、寄生虫病の対策が行われた世代として育っていたので、NTDsの本を読んでいるうちに、目黒に寄生虫の博物館があることを知り、足を運んでみた。
 
目黒通り沿いにある、公益財団法人・目黒寄生虫館は、不思議なことにカップルで賑わっており、「や~、気持ち悪~い」という若い女と不敵な笑みをたたえた兄ちゃんであふれていた。
NTDsに関する展示として、リンパ系フィラリア症の紹介があり、また大村先生の功績も小さく展示されていたので、それを見て館を後にした。
 
この病気が広く知られない理由はただ一つ。気持ち悪く、ショッキングすぎて、テレビで放映できないからである。
良好な公衆衛生が維持できなくなるような事態になった時には、このNTDsもどこかで再発するリスクがあると感じ、辛いが関連書籍を読んでいる。
 

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